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社長のページ『おいしい話』

Vol. 206 上面発酵、下面発酵

【2015.8.10】


 上面発酵と下面発酵について、一般的な説明は、上面発酵酵母は15℃~20℃で発酵を行い、酵母菌は表面に浮かびあがります。発酵期間と3~5日と短く、イギリスのビールがこのタイプが多く、エールビールと呼ばれます。フルーティーな香味が特徴です。

 下面発酵母は5℃~10℃で1週間主発酵を行います。主発酵が終わると温度を4℃に下げ4~8週間の後発酵を行います。この間に酵母が凝集し、タンクの底に沈殿します。爽快なすっきりしたラガービールができます。この下面発酵ビールはドイツで冬期間に造るビールとして造られ始めました。ドイツのバイエルン州、チェコのボヘミア地方では、深い地下室の洞窟に、冬の氷を貯蔵することで、夏でも発酵温度を5℃~10℃に保つ下面発酵ビールを造るようになりました。

 カール・フォン・リンデンがアンモニア式冷凍機を開発し、その1号機を、1873年ミュンヘンのシュバーテン醸造所のガブリエル・ゼードル・マイル2世が設置し、氷を作りました。24時間で6トンの氷を造ることができました。1㎘のビールを造るのに1トンの氷が必要だったそうですから、一日6㎘のビールを造ることができたということです。この冷凍機のおかげで、どこででもいつでも下面発酵ビールが造れるようになりました。

 チェコのピルスナーウルケルを見学した時、この時代の冷凍機が今でも動いているのを見て感激しました。観光用に動かしているとはいえ、130年前の冷凍機が使われていることに驚きました。


 ルイ・パスツールは生物の自然発生説の否定、最初のワクチン(狂犬病)の発見、低温殺菌法(60℃で殺菌できる)など微生物学の祖として有名ですが、ドイツのストラスブール大学を出ているのにドイツ嫌いでドイツより良いビールを造る研究をしていて、酵母を発見します。


 パスツールと共に微生物学の開祖といわれるロベルト・コッホは炭疽病・結核菌・コレラ菌の発見と共に、微生物の純粋培養法の確立者です。この培養法によりビール酵母の培養を確立したのはエミール・クリスチャン・ハンセンです(ハンセン病のアルマウエル・ハンセンは別人)。コペンハーゲンのカールスバーグビールを見学した時、世界で初めてビール酵母を培養した研究室が観光コースにあり、ガラス越しですが、間近に覗くことができました。

 19世紀後半にビール製造の科学技術が確立します。パスツールの低温殺菌法がビールの瓶詰め製品の品質安定性に大きく貢献し、ビールが世界の飲み物になる基礎技術になりました。上面発酵ビールが国民酒になっていたイギリスを除いて、下面発酵ビールが世界を席巻し、ラガービールが世界標準になった歴史的な背景です。

 ラガービールが世界を席巻しますが、ドイツでは1516年バイエルン公ヴィルヘルム4世が制定したビール純粋令「ビールは麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする。」が現在も生きていて伝統的なビールしかありません。アメリカでは早くから麦芽と一緒に米が原料として使用されました。日本でも戦後、米が使用されます。アメリカや日本のビールは、ビール純粋令から見ればビールではありません。日本のビールは米を使うため軽快ですし、極端に冷やして飲む習慣になり、結果として咽喉越しを楽しむ飲みものになりました。取りあえずビールという文化ができ、アルコール飲料の中心商品となりました。


 地ビールが上面発酵ビールを改めて日本に持ち込みました。今クラフトビールが注目されるようになっていますが、新しいビール文化が作られつつあります。


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