vol.18 全国新酒鑑評会 (6) 〜酒母・醪〜

梅錦山川 (株) 社長山川 浩一郎  鑑評会出品酒は高温糖化酒母という方法で造られます。この方法は麹と蒸したお米とお湯を混合して60度で3時間保温し糖化を行わせ、冷やしたところで酵母を加えて発酵させるものです。この方式が使われるのは高温糖化が9号酵母 (熊本酵母) の吟醸造りの標準法であり、酵母を純粋にしやすく、味がきれいに仕上がるためでしょう。

 醪の管理は酵母の発酵の強さを温度で管理する課程といえるでしょう。低い温度で強い発酵を持続させることがポイントだと思います。
 前回までにお話しした熊本流といわれる吟醸造りは (株) 熊本県研究所の野白金一先生、萱島昭二先生、松本寿杜氏の3人によって完成されました。醪の温度管理はその萱島先生が作られたB曲線管理法により、誰でも簡単にポイントをつかむことが出来るようになりました。


B曲線のグラフ

↑B曲線


 いつ上槽するかはアルコール度と日本酒度の目標に近いところで決めれば良いと思います。
 醪が高泡のときに香りが高いのは良い吟醸の証拠なのですが、搾ってみると思ったほど香りがなく、がっかりすることがしばしばあります。醪での良い香りは”泡とともに去りぬ”で、お酒には残りにくいのです。醪の後半温度を低くしても良く発酵する醪は香りがお酒に残ると考えられています。

 出品酒の搾り方は通称”首吊り”と呼ばれる方法で行われます。この方法は600Lの酒母タンクに酒袋の口をくくり、ぶら下げるもので、自然に滲みだしてくるお酒を1斗びんにとります。この斗びんは搾った順番にナンバーが打たれ、出品まで1本ごと管理されます。


首吊り

↑首吊り 醪を入れた袋をタンクの縁にかけ、重力で清酒と酒粕とに分ける

 斗びんの順番から熟度などを推測し、出品の時に一番適した斗びんを選んで出品します。梅錦の出品酒は精白が35%より白いものを対象としていますが、その中でも山田錦・雄町・松山三井といった米の品種や、熊本酵母・愛媛の酵母EK-1といった酵母の違いなどによりたくさん種類がありますので、出品する斗びんの選択を誤ると宝の持ち腐れということになります。


 梅錦が出品する新酒鑑評会は時期が早いものから順に、愛媛県鑑評会・高松国税局鑑評会・全国新酒鑑評会・村岡杜氏鑑評会・但馬杜氏鑑評会・山口杜氏鑑評会 があります。

 中でも一番成績を気にするのは全国新酒鑑評会です。この結果がわかる5月中旬で鑑評会の一年がおわります。

※ 上槽 (じょうそう、あげふね) 醪を清酒と酒粕に分けること。


home
home